第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
うちのクラスは、月曜日の7限目がLHRだ。早く部活に行きたいとソワソワしてるヤツの気が知れないけど、多分他クラスのバレー馬鹿2人はまさにそっち側の人間だと思う。
「えー、今日は今度の球技大会のチーム分けをする。種目はサッカー、バレー、バスケだ」
球技大会なんて、何のためにやるんだろう。部活の競技には参加出来ないし、やったこともないスポーツなんてやってもなんの身にもならないのに。
『ツッキーツッキー!』
「なに」
『球技大会楽しみだね』
「…鈴木は学校行事が大好きなタイプ?」
『うん、当たり前じゃん!それに球技大会なんて1日ずっと体育だよ!私バスケやりたい、ブザービーターして花道とハイタッチしたい!』
キミが流川側なんだ珍しい思考だね、なんてツッコまないぞ僕は。鈴木って決して馬鹿じゃないのに、なんかアホっぽいところがあると思う。どこか他クラスのバレー馬鹿たちと似たような感じの。
「……はは」
『ねえ。今失礼なこと考えなかった?』
「気のせいデショ」
「おーし、このクラスで部活動のマネージャーをしている人、手を上げろ」
『はい!』
鈴木のほかに数名手を挙げた。
「その中で、サッカー、バレー、バスケ部のマネージャーは?」
『はい!』
鈴木だけが生き残った。
「あ、そうか。そしたら鈴木はバレー決定な」
『ええっ!?な、なんでですか!?』
「マネージャーはルール面を押さえてる前提で、その種目に入るのが決まりなんだ」
『くっ…今からでもバスケ部のマネージャーに』
「球技大会のためだけに馬鹿じゃないの」
『ヅッギィ〜!!』
しまった、ついツッコんでしまった。
「…よし、これでだいたい決まったな」
僕と山口は鈴木熱望のバスケに決まった。もちろん背が高いからという理由だけで。
隣を見ると鈴木は明らかに落ち込んでいた。
『…バレーだったら思いっきりできないじゃん』
僕の耳にたしかにそう呟く声が聞こえた。
「なんで?やればいいじゃん」
『っ!……ふん、いいよなバスケの人は』
「は?めんどくさ」
「ちなみに部活が種目にある人は審判な」
「っ…は!?めんどくさ」