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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第18章 フラストレーション


影山 side

「…おい、大丈夫か」

「ってえ………今、大王様いた?」

「い、いるわけねえだろ」

「えっ!?誰もいない!」

「なにがだよ」

「だって、向こうから…」

「バカか、俺が打って今こっちきたんだろーが」

「か…影山、ここにいたよな!?」

「いねえって!」

「嘘だ!俺、影山見て入って……やべえ俺、影山の幽霊見たのかも!影山生きてるのに…どうしよう影山、俺死ぬのかな…それか影山が死ぬかも」

「っせえな、頭打ったんだろ……」




俺はそう言って対人レシーブ用のスパイクを日向に打った。


やっぱり返ってくる位置が美里と違う。それにこいつのレシーブは腕だけで取りにきていて足が動いていない。







ボールが弾かれて飛んでいく。




「腰高えよ」

「うん……そろそろ決勝始まる頃だな」

「おお」




「それに勝った方が全国進むんだな…いっぱい試合すんだな」

「…おお」







「くっ…そ、ったらぁぁあああ!!」


「!?」


日向が突然暴れだした。




──フラストレーション




美里の言葉を思い出した。負けて試合ができねえことによる欲求不満なんてどう発散すればいいかわからない。ただ、叫びながら走り回る日向を見て胸に燻った苛立ちや、やるせない思いが渦を巻いて大きくなっていくのを感じた。


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