• テキストサイズ

【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第18章 フラストレーション


翌日。

今日は朝練も午後練も休みだと伝えられた。

いつも通りのクラスメイト、いつも通りの先生、いつも通りの授業。何もおかしくないはずの日常なのに、頭の中に今日仙台市体育館にいないことをおかしいと思う私もいた。

勝った者だけが試合を続けられる…そんなの分かりきっていたことなのに。

ふと横を見ると、ツッキーはぼんやりと窓の外を眺めていた。ツッキーは昨日しっかりと休めたのかな、オーバーワーク気味の我が幼なじみと比べればその辺は心配なさそうだけど、少しだけメンタルのほうが心配だった。ツッキーは表面上、なんともないように振舞うのが上手だけど、実は人並みにしっかりと感情が動いている人だと思うから。

いつも達観した様子のツッキーには弱い部分を見せられる人はいるのだろうか。完璧じゃなくていいと言ってくれる人はいるのだろうか……



「おい月島、鈴木、窓の向こうに何があるんだ?」

「『!』」


ビクッと身体を震わせた私たちは同時に「すみません」と謝った。するとクラス中が笑いに包まれる。






キーンコーンカーンコーン





午前最後の授業が終わる。



「2人とも珍しいね、外に何かあった?」

『ううん、ただ空が綺麗だなと思って』

ツッキー見てたとは言えない。


「月島くんも?」

「…うん、まあそんなとこ」

「なんか山口くんも上の空だったよ」


そう言われて山口くんに目を向けると、カバンを手にしたままため息をついていた。



















そして今日全ての授業が終わった終礼中、ポケットのスマホが震えたので見てみると飛雄からのLINEだった。



〈美里、体育館〉


/ 642ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp