• テキストサイズ

【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第17章 IH予選 2日目


水道に行くと、2人はすぐに見つかった。


『…かげや、』



「謝ってんじゃねえよ!」


日向くんが突然飛雄の胸ぐらに掴みかかった。
そのまま倒れ込む2人。



止めなければ、そう思うのに体が動かない。



すると、私の肩に手が置かれた。そしてその人は、私を追い越して2人に近づいていく。



『…せ、先生』









「ミーティング、始まってしまいますよ」



いつもの優しい声だ。



「今日も素晴らしい活躍でしたよ、2人とも」

「……でも、負けました」

「確かに負けました、でも実りある試合だったのでは?」

「………」


「“負け” は弱さの証明ですか?」


それでいて、芯のある凛と響くような声。


「君たちにとって負けは試練なんじゃないですか?地に這いつくばったあと、また立って歩けるのかという。君たちがそこに這いつくばったままならば、それこそが弱さの証明です」




2人はその言葉を聞いて、スッと立ち上がる。



そしてくるっと振り返った先生は、私に優しく笑いかけてくれた。



『………』




私の横を先生と日向くんが通り過ぎる。




飛雄の目を見れずにその場で立ち尽くしていると、すれ違う瞬間に手首を掴まれた。


『か…影山くん…っ?』

「……行くぞ」


そのまま数歩歩いて私の体の進行方向を変えると、パッとその手は離れた。



『……うん』



私は駆け足で3人の背中を追った。

/ 642ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp