第17章 IH予選 2日目
そして第2セットのセットポイントは飛雄とツッキーのブロックが決まり、烏野が取ることが出来た。
いよいよ、最終セット。
追いついては追い越し、
また追い越され…気付けば、
31-31
長い長い戦いに、選手たちは肩で息をしていた。
そんななか、果敢に切り込んでくる国見くん。
『…やっぱり “体力温存型” か』
国見くんの決めた1点で青城の逆転。
こんなに試合中に走り回る国見くんを初めて見た。北一の試合では常にダルそうに飛んでいる印象があったから。
そして国見くんの犬歯……
──「俺たちって今後会うことあると思う?」
──「じゃあ、今日が最後じゃないと思ってていいの?」
──「よかった」
── 「俺、鈴木にすごく会いたかった」
── 「俺は、鈴木をずっと見てたから」
こんな時に、どうして私はこんなことを思い出しているんだろう。どうしてこんなにも胸が苦しくなるんだろう。
私が知らず知らずのうちに国見くんを傷つけていたと知ったから?私が国見くんに向き合うことから逃げていたから?
傷付けられるよりも傷付けてしまったほうが、ジクジクと化膿するみたいに傷が痛むと初めて知った。
『………』
ちゃんと向き合わなくちゃいけない。
国見くんの気持ちと。
「レフトォオオオ!!!」
「センタァァアア!!!」
『!』
旭先輩と日向くんの声で引き戻される。
何やってるんだ、私のバカ!
私は国見くんの得点のスコアをつけた。
そして、試合終了のときは訪れる。
飛雄が日向くんに完璧なトスを上げた。ドンピシャ、そんな言葉でしか表せないような寸分の狂いもない美しいトスを。
決まる、
誰もがそう思った。
…が、
トンッ………
日向くんのスパイクは、青城のブロックに捕まり静かに床へと落ちた。