第16章 IH予選 初日
荷物置き場でひとしきり喜びを分かちあったあと、青城の試合を観にみんなでスタンド席までやってきた。
─いいぞいいぞトオル!押せ押せトオル!
迫力のある応援を一身に受け、自信に満ち溢れた表情を浮かべる及川さん。
『………』
及川さん、普段は明るくてお調子者なのに、試合になるとガラッと雰囲気が変わるよな…特に目が。
直観的に感じた及川さんの印象は、努力の人。飛雄と似ているようで、実は正反対な気がしてならなかった。
「これで4本連続サービスエース…」
「威力は言うまでもねえけど、あのコントロールもえげつねえな…」
やっぱり及川さんのサーブトス、すごく高い。
それに合わせたジャンプも高く、身体がバネのようにしなってものすごい威力のボールを放っている。
『…背筋』
「美里ちゃん?」
『あ、いえ……すみません、私ちょっと席を外しますね』
もう少し近くで見てみたい。
そう思って私はスタンド席から下へ降りた。