第16章 IH予選 初日
セットカウント
2-0
勝者:烏野高校
試合は見事、旭先輩の雪辱を果たす結果となった。
『嶋田さん滝ノ上さん、私みんなのところに行きますね』
「おう!お疲れ様」
「みんなによろしく伝えてくれ!」
『はい!』
そして、女子バレー部のみなさんにも頭を下げた。
『みなさん、ありがとうございました』
「勝ったね、すごかったね!」
『はい、みなさんの応援のおかげです!…それでは、失礼します』
階段を上ろうとした時、ポニーテールの先輩に肩を叩かれた。
「…鈴木さん」
『はい?』
「頑張ってね」
『!……ありがとうございます』
この先輩がどうして私にそんな言葉をかけてくれたのか、よく分からなかった。でも、その言葉が嬉しくて、何故か涙が出そうになった。
私は階段を登りながら、その涙を体内に戻すように天井を見上げた。