第16章 IH予選 初日
第一試合のアップをとるために、みんなで体育館へ向かった。
「うおおお!広いっ!でかいっ!」
日向くんが興奮したように大きな声でそう言った。その目はキラキラと輝いている。
「おい、 ビビってんじゃねーぞ」
「ぬっ!?おめーだよっ」
「どう見てもおめーだよっ」
飛雄が日向くんの胸ぐらを掴んだ。飛雄、昨日言ってたな…日向くんが緊張に飲まれないかが心配だって。
「ッシャー!!」
でもウォーミングアップをする日向くんに、青城との練習試合のような固さは見られなかった。
そしてついに、試合開始4分前。
「集合ーッ!」
両チームが整列して、挨拶をした。
『…………』
みんながベンチに戻ってきた。
私はそろそろ上にあがらなくてはいけない。
私が声を掛けようとした時、
「鈴木!なに寂しそうな顔してんの!」
澤村先輩がニカッと笑いながら言った。
「大丈夫、お前の気持ちもここにいる」
『!』
── 「思い出すもなにも、忘れねえよ」
『…はい!一緒に戦います、絶対に勝ちましょう!』
「「「「おう!!」」」」