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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第15章 そして、走りだす



「…美里ちゃん、それ影山に言った?」


『はい、話しました』

「どんな顔してた?」

『こうやって顔を隠して下向いちゃったので、顔は見えなかったです』

「ははっ……でもそっか、美里ちゃんはこれから先もずっと、影山と一緒に生きていきたいんだね」

『生きていきたいというか…これまでがずっとそうだったし、これからも変わらないんだろうなと思ってます』

「変わらない、か」

『はい』

「…でもなんか納得した、美里ちゃんの原動力は影山だったんだね」

『原動力ですか?』

「うん、あんなに短期間で色んなことを勉強して身につけて頑張ってくれてたでしょ?その根本にあったのは “影山のため” だったんだなって…」

『…それは、間違いないですね』

「すごいなぁ、本当に漫画みたい」

『私、漫画が大好きなんですけど、こんなに普通な話が漫画にあって大丈夫ですかね?』

「普通かぁ……ふふ、実は私も漫画が好きなの、今度話そ」

『本当ですか!やったー!』


「あ…いけない、そろそろ行こうか、美里ちゃん着替えるよね?」

『はい!』



私たちは横断幕を用具入れに置き、部室へと向かった。


その途中でポケットのスマホが長く震え、着信を知らせる。



『あ、すみません、電話が…』

「ご家族かな、ごめんね」


『あれ?影山くんだ。なんだろ…もしもし?』

〈お前、大丈夫か?〉

『え?うん、大丈夫だけど…』

〈今どこいんだよ〉

『まだ学校だよ』

〈の、どこ…〉

『部室のちか……あ』



パッと正面を見ると、少し遠くからスマホを耳にあてた飛雄が歩いてきていた。

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