第14章 “ネコ” と “カラス” の対峙
体育館の撤収作業中のこと、
「やあやあ、お疲れ 小ガラスちゃん」
『…あっ、黒尾さん!お疲れ様です』
「これ、ほんとサンキューな」
『いえ!お役に立てたのなら何よりです』
「…テーピングはもちろんなんだけどさ、ウチの他の連中もみんな驚いてたぜ」
『何をですか?』
「…初対面のほんの10分後に、名前呼びながらタオル渡されたら誰でも驚くんでないの?」
『あ……自分基準で大変お恥ずかしい話なのですが…名前、呼ばれたら嬉しいじゃないですか』
「!」
『だから早く覚えたくて』
「…末恐ろしー子だわ、鈴木サン」
『わっ』
「え、なに、これも嬉しいわけ?」
『はい!覚えてくださってありがとうございます!』
「ハハハ、鈴木さん良い笑顔だね〜」
「鈴木、なに油売ってんの?」
『あ、ツッキー』
「ああ悪いねえ、オタクのハイスペックマネージャーお借りしちゃって」
「別に」
「…キミさ、プレイ中も今も随分大人っぽいけど、もう少し高校生らしくハシャいだって良いんじゃないの?」
「そういうの苦手なんで」
「ふーん…」
『でもクラスではハシャいでるときもあるよね?』
「へえ、同じクラスなの?」
『はい!』
「チョット余計なこと言わないでよ…それにハシャいだことなんてないし、もう早く仕事しなよ」
『あっ…たしかに、では黒尾さんありがとうございました!』
「ううん、こちらこそ……なんだ、キミも高校生らしいとこあんじゃん」
「は?…そういう絡みやめてもらえますか、苦手なので」
「おー、こわ」