第14章 “ネコ” と “カラス” の対峙
「おい鈴木?」
「どした?」
烏野メンバーがネットの向こう側から不思議そうに声を上げる。
『あの、黒尾さん』
「えっ、俺?」
『右手見せてください』
「ッ!?…いや、おい…さすがに嘘でしょ」
「え、なに?」
「黒尾さん、なんかあったんスか?」
「……いーや?あのね小ガラスちゃん、俺本当に大丈夫だから」
『見せてください…お願いします』
「…………」
私が手を差し出すと、黒尾さんはおずおずとそこに右手を乗せた。
どの指だろう、
私は反応を見るために、黒尾さんの目を見ながらゆっくりと人差し指から関節に触れていく。
「ちょっ…そんなに見つめないでくれる?」
『………』
……あ、この指
私が薬指の第一関節に触れた瞬間、黒尾さんの眉間に皺が寄った。
「…いっ、」
『やっぱり』
「黒尾、痛むのか?」
「いやぁ…えっと」
「いつから」
「あー、いつだったかな……」
『烏野の17得点目、ブロックの時ですよね?』
「「「!?」」」
「っ……なんで、」
『そこから右手を気にしているように見えたので…勘違いじゃなくてよかったです、テーピングは私がしても大丈夫ですか?』
「あ………ハイ、お願いします」
『すみません、3分だけお時間をいただいてもよろしいですか?』
「3分…そんなすぐなんて、」
「ああ、構わないよ」
『猫又監督、ありがとうございます…では黒尾さん』
「お?……おう」
「監督…」
「彼女がやると言ったのだから、やらせてみなさい」