第14章 “ネコ” と “カラス” の対峙
ドパッ
開始早々、飛雄と日向くんの速攻に音駒ベンチが沸く。そして日向くんだけでなく、旭さんの強烈なスパイクも空を切り裂いた。
「ハハハ…スゲーな…今のは拾えなくてもしょうがねえ…リベロもスパイカーも良いのがいるな烏野!でも一番とんでもねえのは…セッターかな」
飛雄のセットアップには本当に迷いがない。
後ろにも目がついてるんじゃないかというくらいに、ほんの一瞬でコートの状態を把握してしまう…そして正確極まりないトス。
そのあとも日向くんを始めスパイカーたちが何度も飛び上がり、バンバン点を稼いでいた。
「芝山」
「はい!」
「あの10番は今んとこ何本決めた?」
「あっ……えっと、えー」
『12点中4本です』
「おっ、」
『それも全てが速攻で、音駒のみなさんの体勢が整いきる前のセットアップでした。その速攻に警戒して、音駒のブロックが広がるので他のスパイカーの決定率も高いです』
「……そうか、ありがとう」
「す、すみません!」
『いえ!』
「とんでもねえな…」
猫又監督はタイムアウトを取った。
『夜久さん、どうぞ』
「お?…おぉ、サンキュ」
『海さん、お疲れ様です』
「!…ああ、ありがとう」
私はみんなに飲み物とタオルを渡す。
「ありゃあ…ダメだ、あれはバケモンだ」
「10番ですか?」
「10番の動きも変人じみてるが、セッターのほうだ」
飛雄のことだ。最初のタイムアウトで敵チームから警戒されるなんて、やっぱりすごいんだな。
「スパイカーの最高打点への最速のトス、針の穴を通すコントロールだ…ただ誰にでも通用するトスじゃない。トスに絶対的な信頼を持って飛び込んでくるスパイカーにしか上げられないトスだ……しょうがねえ……天才はしょうがねえ…が、天才が一人混じったところでそれだけじゃ勝てやしないのさ」
すると、孤爪さんが「翔陽が攻撃の軸なら止めちゃえばいい」とそう言った。
ゲーム、クリア、慣れる……
それはまるで、バレーボールというよりもまるでテレビゲームでもしているかのような発言だった。