第14章 “ネコ” と “カラス” の対峙
音駒ベンチへ歩みを進めると、烏野の盛り上がりを聞いた音駒高校の皆さんが私に目をやった。
「…おやおや?小ガラスが迷い込んできた」
「な、なな…ッ…なななな、なにしに」
「山本、そういう反応したら可哀想でしょうよ」
『はじめまして、烏野高校マネージャーの鈴木です。皆さんのサポートと私自身の勉強のために、今日はこちらのベンチに入らせていただきます。よろしくお願いします!』
「「「「………おぉ」」」」
「ほら、お前たち女子マネにびっくりしない!挨拶」
「「「「オネシャース!」」」」
『はいっ!』
「…ごめんね、鈴木さん」
『いえいえ!直井さんは審判ですか?』
「うん、そうだよ」
『よろしくお願いします』
「こちらこそ、あっこれうちのオーダーシートの控えだから名前と番号見るようなら参考にして」
『ありがとうございます!』
『猫又監督、本日はよろしくお願いします』
「はいはいどうも、よろしく頼みますね」
私は練習のためにスコアシートを1枚持ってきていた。密かに練習してきたけど、実際の試合でつけるのはこれが初めてだ。実践でしっかり試さなくては…!
「おし、集合」
「「「「おう」」」」
主将の黒尾さんの掛け声で音駒が円陣を組んだ。
「…俺たちは血液だ、滞りなく流れろ酸素を回せ、脳が正常に働くために。……行くぞ」
「「「あス!」」」
円陣が高校名の掛け声じゃないところもあるんだな。なんかカッコイイ。
「…ねえところで小ガラスちゃん、俺たちのユニフォーム姿はどうなのかな」
…黒尾さん目の前に来ると大きいな、ツッキーと同じくらいかも。
『カッコイイ、ですね』
「ふーん、空気読めるタイプなのね」
「いや、今のは完全にお前が言わせただろ!」
「ハハッ!いーじゃねえかよ、やる気に繋がるんだから」
「ごめんな、変なやつで」
『いえ、とんでもないです!…あの、さっきのってユニフォームが赤だから、血液なんですか?』
「…えっ?」
『みなさんは、酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンってことなんですかね?すごいです!』
「あ、まあ…その、そうだな」
「はは…こっちはこっちで、って感じだな」
『?』
そしていよいよ練習試合が始まった。