第13章 青天の霹靂とはまさに
午後の最後はゲーム形式の練習を行うことになった。
ピーッ
「ちょっとストップ!月島、今のはえっと……」
コーチは以前からゲームの途中、指導の度に審判台を降りてコートの中へ入っていた。あれはきっと時間のロスだし、本当は指導だけに集中出来た方がいいはずなんだ。
「……よーし、再開すっぞ!」
『あ、あのコーチ!』
「どうした?」
『ゲームの審判は、私が担当しても問題ないでしょうか?』
「…え、」
『もし私が担当しても問題がないのであれば、やらせてください』
「でもお前……」
『マネージャーをさせていただくにあたって、ルールと審判シグナルは頭に入れてきました。ただ座学的に勉強をしたので、実践経験はありません。もしコーチやみなさんに不安があれば断ってください』
「ルールはともかく審判もって…」
「審判まではわかんねえよ、俺」
「マジか…すげえな鈴木は」
「烏養さん、俺たちは構わないですけど…」
「…鈴木、これは?」
烏養さんは私に審判のハンドシグナルをやってみせた。
『オーバーネット』
「これは?」
『タッチネット』
「これは?」
『サービスフォルト』
「これは?」
『フォアヒット』
「おし合格だ…じゃあ頼むわ」
『ありがとうございます!』
「やるなぁ〜」
「おぉっ!鈴木さんかっけえー!」
「鈴木、笛……はまずいか」
コーチは私に自身の笛を差し出してすぐさま引っ込めた。
「烏養さん、アウト!」
菅原先輩が両手を伸ばし自分側に曲げた。
「菅原、やかましわっ!」
「鈴木さん、これ使って」
清水先輩が笛を貸してくれた。
『ありがとうございます!ではみなさん、よろしくお願いします。誤審があったら遠慮なく教えてください』
「「「「シャース!!」」」」