第13章 青天の霹靂とはまさに
烏養 side
「…サーブ?」
「は?……幼なじみってあいつらがか?どう見てもただの同級生にしか見えねえんだが」
「あ…えっ!?えっと…これは限られた人だけが知り得ていることなので、あまり軽率に他言したくはないのですが…烏養くんは指導者なのでお話します。あの2人は古くからの幼なじみです、ただこの関係は本人たちの意向で隠しています」
「…幼なじみってそんな隠すようなことか?月島と山口みてえなもんだろ」
「本人たちからすれば重要なこともあるんですよ、なのでくれぐれも他言無用でお願いします。今のは僕の不注意でもありますし、念の為、烏養くんに話したということは鈴木さんにも伝えておきますね」
「お、おう…わかった」
「それで、烏養くんの言っているサーブとは?」
「先生…あいつ経験者だわ、それもとびきりの」
「経験者って、バレーのですか?」
「あぁ、まあ影山の幼なじみって聞いたら納得出来なくもねえんだが、あいつがすげえサーブ打ってんのをさっきたまたま見ちまって…」
「経験者とは僕も初耳です、それで烏養くんは “歓迎すべきこと” と言っていましたがそれは?」
「鈴木の力があいつらの力にもなるんじゃねえか、と」
「烏養くん…彼女はマネージャーですよ?それにもう十分、力になってくれているじゃありませんか」
「わぁってるよ、そんなこと!…ただ、そう思わせるサーブだった」
「…もしも彼女が経験者で、自身がプレイヤーであることを望むのならば、きっと迷わず女子バレー部を選んだはずです。でも実際はそうではなかった」
「あぁ」
「本人の気持ちを確認するまでは、彼女を練習に参加させることは許可できません」
「まぁ、それが正しい意見だろうな」
「すみません、僕の一存で」
「いや……俺も少し冷静になったわ、サンキュ先生」
「いえ、では午後もよろしくお願いします」
「おう」
俺は再び体育館へと向かった。