第13章 青天の霹靂とはまさに
烏養 side
『ツッキー、食欲なかったらこれとこれ…』
「大丈夫だって、食べられるから」
俺は鈴木を目で追った。
正直まだ信じられないけど、こいつなんだよな…?
それならば、あのボール拾いの違和感も頷ける。女子であのサーブを打てるレベルということは中学時代はさぞ名の知れた選手だったはずだ。
…そんな選手が高校に進学して、選手ではなくマネージャーを選んだというのか?それは一体なぜ…。
俺はどうしても気になって、スマホで《宮城県 鈴木美里》と検索をする。
「…………」
中学生全国英語スピーチコンテスト 優勝
宮城県 北川第一中学校 鈴木美里。
この写真間違いない、鈴木本人だ。
…でもバレーとは全く関連がつかないな。
ん?
…そういえば北川第一ってたしか、影山の出身校だよな?
中学時代に同じ学校のバレー部同士だったのならばもちろん面識もあるだろうし、強烈なサーブを打つ選手を目標に見よう見まねで練習することもあるかもしれない。ただ、とりわけ鈴木が影山と仲が良いと感じたことはないし、むしろ他の連中のほうが親しげな気が…
「…くん……烏養くん?」
「っ!」
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…わりぃ」
「色々考えすぎてしまうのも分かりますが、とりあえず食事を」
「…っはは、そうだな」
「どうかしましたか?」
「あー……先生、あとで少し話が」
「?はい、わかりました」
俺はひとまず、目の前に並ぶ文句のつけどころのない料理たちをせっせと口に運んだ。