第13章 青天の霹靂とはまさに
烏養 side
ひとり、ふたりと体育館を去っていく。
もうそろそろ全員が食堂へ向かった頃だろう。
俺は何本目かわからないタバコの火を消した。
「…ジャージ忘れた」
取りに戻ろうと体育館に目を向けたその時、
バシーンッ
1本の強烈なサーブが目に飛び込んでくる。
「お、ナイスサーブ」
恐らく今のは影山だろう。
…3本で上がれと言ったのに。
ストイックなのは素晴らしいことだが、オーバーワークは良くない。
声をかけようと歩き出した俺の目に信じられない光景が映った。
ターン…
「……ジャン、フロ…?」
…誰だ、誰が打ったんだ今のサーブ。
駆け足で体育館の入口に手をかける。
「……っ?!」
そこには誰もいなかった。
『あ、すみません…すぐに行きます!』
そう、鈴木以外は。