第13章 青天の霹靂とはまさに
烏養 side
「おーし、今日の午前ラストサーブ!自分の中で3本サービスエース取れたと思ったヤツから休憩入れ!」
「「「オスッ!」」」
合宿3日目、こいつらの武器や弱点が段々と見えてきた。攻撃はまずまずだが、まだやっぱりレシーブに不安が残る連中がチラホラいるな。
「鈴木さん、私お昼の準備先に行くね。冷蔵庫のを温めれば大丈夫かな?」
『はい、お昼のはラップにピンクの付箋を貼ってあります!よろしくお願いします』
「わかった」
サーバーの反対側のコートでボール拾いをする鈴木を目で追う。…こいつのボール拾い、なんか気になんだよな。
「なあ、鈴木」
『はい!』
「お前、ボール拾いながら何考えてる」
『えっと…早く拾ってみんなにボールを渡さねば、と……あっ!私なにか邪魔をしていましたでしょうか?』
「…いや、それはない。そのまま頼む」
『はい、わかりました!』
エンドライン側に立った複数のサーバーのうち、おっ今のサーブ良いなと思った先でボールを待ち受けている鈴木。それも1回や2回じゃない、これまでに何度も。
「…偶然か?」
そもそもあいつ、男子のサーブが怖くねえのか?
俺の代に女子マネがいたことはなかったからそういうのはイマイチ分からないけど、床に叩きつけられたそこそこの速さの球を片手でいなして止めていることに違和感を覚える。
そんなことより、今は音駒戦のことだ。
いかんせん考えることが多すぎる。
バラついた思考を整理するために、俺は体育館の外に出てタバコに火をつけた。