第12章 いつもの夜
影山 side
「なぁ…さっさと寝ちまえよ」
『でも…ひとりだと、』
「はぁ…もうわぁったよ!お前が寝るまでここにいてやるから」
『ほんと?』
「ああ…だから早く寝ろ!」
『…うん!』
美里は焦ったようにゴソゴソと布団に入って横になった。そして、すぐ隣であぐらをかく俺を不安そうに見つめてくる。
「いいから早く寝ろって」
『ねえ…影山くんも横になって?』
「なんでだよ」
『だって、なんか落ち着かないし…すぐに帰っちゃいそうなんだもん』
「帰んねえって」
『おねがい…』
「はぁ…ほんっとお前、我儘だな」
『…ごめんなさい』
「………ったく」
俺は何度目かわからないため息をついて、いつものように美里の右隣に寝転がった。左腕を折り曲げて枕にする。
「これでいいのか?」
『あと…』
「まだあんのかよ」
『手、かしてほしい』
「は?」
『…目瞑ったら、いるかわからなくなっちゃうから』
「………」
言いたいことは色々あった。
本当に色々あった。
それらを全て飲み込んで、俺は右手を伸ばした。