• テキストサイズ

【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第12章 いつもの夜


影山 side

「なぁ…さっさと寝ちまえよ」

『でも…ひとりだと、』

「はぁ…もうわぁったよ!お前が寝るまでここにいてやるから」

『ほんと?』

「ああ…だから早く寝ろ!」

『…うん!』


美里は焦ったようにゴソゴソと布団に入って横になった。そして、すぐ隣であぐらをかく俺を不安そうに見つめてくる。


「いいから早く寝ろって」

『ねえ…影山くんも横になって?』

「なんでだよ」

『だって、なんか落ち着かないし…すぐに帰っちゃいそうなんだもん』

「帰んねえって」

『おねがい…』

「はぁ…ほんっとお前、我儘だな」

『…ごめんなさい』

「………ったく」


俺は何度目かわからないため息をついて、いつものように美里の右隣に寝転がった。左腕を折り曲げて枕にする。


「これでいいのか?」

『あと…』

「まだあんのかよ」

『手、かしてほしい』

「は?」

『…目瞑ったら、いるかわからなくなっちゃうから』

「………」



言いたいことは色々あった。
本当に色々あった。



それらを全て飲み込んで、俺は右手を伸ばした。



/ 642ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp