第12章 いつもの夜
影山 side
『かげやまくん…っ!』
「…お前なに考えてんだよ」
『もうごめん、…ほんとに、ごめん』
美里からのLINEにはこう書かれていた。
《本当にごめん》
《とびおたすけて、》
《こわい》
「…どうすんだよ」
『少しだけそばにいて…?』
「はァ…少しっつったって」
『おねがい、すこし…でいいから…っ』
「泣くなバカ」
『う…ごめっ……こわ、かった…』
「……っ」
俺を見上げて涙を流す美里から目をそらす。
やっぱり俺はこいつの泣き顔に弱いらしい。
「少しだけだぞ…バレたら死ぬほどやべえ」
『…ごめんね…っ』
「ったく、怖くねえとか言っといて結局怖いんじゃねえか」
『…ごめ、ん』
「ごめんはもういい」
『……ん、』
合宿所を見たとき、廊下を見たとき、食堂を見たとき、風呂場を見たとき、そして風呂の声がけでこの部屋と無理に笑うこいつの顔を見たとき…正直嫌な予感がした。
だからこそ、こいつの恐怖が最小限で留まるように1人でいる食堂にも行ったし、風呂の外で待ったりもした。
昔から同じ部屋で寝ていたから、こいつはそもそも1人で寝ることに慣れていない。
…にしても、にしてもだろ。