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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第12章 いつもの夜


ツッキーに1人で大丈夫かと聞かれた時はなんのことかと思ったけど、それはさっき縁下先輩にした言い訳のことだった。

水を飲みに来たと言った飛雄は何故か食堂から出ていくことはなく、そのままテーブルでバレー日誌を書き始めた。私自身一人でいるよりも居心地が良かったし特に気にしていなかったけど、第三者がその場に来たとなれば話は別だ。ツッキーや山口くんとならいざ知らず、私が飛雄と2人きりでいるなんて他の部員たちからすればさぞかし不思議な話なのだろう。

縁下先輩から飛雄が食堂にいる理由を聞かれたとき私は咄嗟に、自分が引き留めたからだと言い訳をした。それがまさかツッキーにまで回っているなんて思いもしていなかった。






階段を上がり部屋について中に入ると、そこは6畳ほどの和室だった。大部屋からは少し離れていて、場所はトイレの隣。



とりあえず、お風呂に持っていく着替えと明日の服を取り出して荷物を整理する。



『………』





とてつもなく静かだ。



この時間に1人きりで部屋にいるのなんて、いつぶりだろう。…いや、もしかしたら初めてに近いのかもしれない。


だいたいこの時間は飛雄がベッドの上でボールを触っていて、私はその音を聞きながら勉強をしたり、1日の出来事を話したりしている。





…寂しいな、そんなことを思っているとノックの音が聞こえてきた。


『はーい!』


襖を開けるとそこには1年生の4人が立っていた。


「鈴木さんおまたせ、お風呂いいよ!」

『わざわざどうもありがとう!』

「一応確認して綺麗だったけど…なんかごめんね?」

『えっ、全然大丈夫だよ!じゃあ行ってこようかな』


4人が大部屋部屋に歩いていくのを見ながら、私は階段の前に立った。



…怖い、けど行こう。
行くしかない。
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