第12章 いつもの夜
月島 side
「わ…!?」
「わっわっわーっ!!!」
「『?』」
2人は同タイミングでこちらを向いた。
「ツッキー!だから言ったじゃん!影山、邪魔してごめん!」
「あ?邪魔ってなんだ?」
「キ、キキキキ……キ!!」
「…キキキ?何の話だよ」
特に焦った様子もない2人に僕と山口の頭にハテナが浮かぶ。
すると片目を瞑った鈴木がヨロヨロとこちらに向かって歩いてきた。
『いてて……山口くんって目いい?』
「えっ?…あ、悪くはない、けど」
『目の中になんか入ってないかな、すごく痛くて』
鈴木の目を見る山口との距離は、先程の影山との距離そのものだった。
「……あ、目頭のとこ、まつ毛入ってる」
『目頭だったか……あ、とれた、ありがとう』
「う…うん、まつ毛なっが…」
すると鈴木は厨房に戻っていった。
「…え、目にゴミって…ベタ過ぎない?」
「なんだよ」
「たしかに影山に限ってないか…」
「だからなんだよ!」
「風呂だよ!!早くして」
「?…おう」
影山はノートを持って、特に鈴木に声をかけることもなく食堂を出ていった。
「1人で大丈夫?」
『え?どうして?』
「縁下さんに聞いたから」
『ん?えっと……あっ!ああ、大丈夫大丈夫!ありがとう』
「?…じゃあ、僕らお風呂行くから」
『あ、うん!行ってらっしゃい』
「次鈴木だけど、まだここにいる?」
『もう終わったから部屋行くよ!』
「そう、わかった」
僕は先に出ていった2人に続くように食堂を後にした。