第12章 いつもの夜
月島 side
「わぁ〜、廊下までいい匂いしてる」
「ね」
「…にしても、鈴木の弱点ってなんなんだろう?今のところ全く見つからない」
「たまに語彙力ちいかわになるくらいだよね」
「わっわっわっ、てね!」
「そうそう」
すると山口が突然不安そうな顔をして僕を見た。
「あ…あのさ、ノックとかしなくて大丈夫かな?」
「なんで?」
「だって、夜の個室で鈴木と2人きりだよ?そんな特殊なシチュエーションだったら、なんか起きててもおかしくないんじゃ…」
「王様に限って、そんな度胸もないデショ」
「でも、影山だって一応男なんだし」
「ないない、あのバレー馬鹿にそんな脳みそ…」
僕がドアを開けると、影山が机から身を乗り出して向かい側にいる鈴木に顔を近付けているところだった。