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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第11章 烏野排球部恒例GW合宿


テーブルの皿も綺麗に空き、みんなのおかわりも落ち着いたようで、それぞれ雑談をしていた。


『…あの、みなさんまだ少しお腹に入りますか?』

「え、なになに?」

「全然いける!」


『実は、デザートがありまして』


私は冷蔵庫からトレーを取り出した。



「シュ、シュークリーム!?」



『牛乳の消費期限が怪しかったので、何か簡単に消費できないかなと思って作ってみたのですが』

「…簡単って」

『いや、本当に簡単なんですよ!生地は小麦粉、卵、水、サラダ油でいけちゃいますし、クリームは牛乳と粉ゼラチンと砂糖だけなので』



テーブルに置くと、みんなそれぞれヒョイと手に取って口へ運んだ。私もそれを見届けてパクリと口にする。



「「「「うんまっ」」」」

『…あ、美味しい、良かった』





すると、菅原先輩が突然真面目な顔をして立ち上がると、私に手を差し出した。


「鈴木」


『はい?』




「結婚しよう」




『…へ?』



「何言ってんだスガ!」

「スガさん抜け駆けダメっすよ!」

「だってさ!こんなんもう嫁にもらうしかないべ!」

「あーっ!俺は潔子さんだけだと胸に決めてるので安心してください!」


「田中ごめん…鈴木さん、菅原じゃなくて私と結婚しよう」

『清水先輩…』

「大丈夫、必ず幸せにする」

『は…はい!』



清水先輩は菅原先輩にピースをしてみせた。



「くっそー!清水に取られたーっ!」




「でも、鈴木さんは本当に良いお嫁さんになりそうですね」

「武ちゃんもかよ!」

「やっ、違いますからね!?本当にやめてくださいよ!?どこからこういう話が教育委員会に漏れ出るのか分からない世の中なんですから!僕はまだまだずっと教師を続けていきたいですっ!」



教育委員会に怯える武田先生を笑いつつ、私たちは食器を洗って少しのあいだ談笑した。この時間にみんなで賑やかに過ごすなんて修学旅行以来でとても楽しかった。

ただ、そんな楽しかった時間が終わりを告げるのは一瞬だった。清水先輩がここに泊まらないと私が知ったのは、このあとすぐのことだった。
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