第11章 烏野排球部恒例GW合宿
準備が出来て、全員の前に料理が並んだ。最初は騒がしかった食堂が一気に静かになり、私は不安になる。…みんな目の前の料理をジッと見つめて微動だにしない。
そういえば私、みんなに嫌いなものとか聞いてなかったけど、まさかこれはやってしまった…?え、でもカレーをあんまり好きじゃない人の割合ってどれくらいだっけ?確か随分前に興味本位で調べた時12%くらいだった気がするから、8人に1人でしょ?えっと、ここに何人いるんだ?3年生が3人で…2年生が…いやいや、こんなこと計算したって意味ない!食べられないなら作り直すしか……
『あ、あの』
「……なんだこれ、」
「ここ、合宿所…だよな」
「どこからどこまでが手作りなんだ…?」
「えっ、と…清水?」
「先に言っておくけど、私は何もしてない」
「何もしてないって?」
「見てただけ」
「じゃ、じゃあ先生…」
「右に同じです」
すると、みんなの視線が私に刺さる。
『ひ、』
「…1時間半ほどでしょうか。世間話をしながらゆったりと過ごしていたらいい匂いがし始めて、気が付いたらこの状態でした」
「いや、さすがに」
「澤村、ほんと」
「でもさ清水」
「菅原、ほんと…東峰も」
「俺まだ何も言ってないよ…」
「あの」
そんな中、飛雄が短く声を発した。みんなが飛雄を見ると、飛雄は待てと言われたまま放置された犬のような顔をしてこう言った。
「食わないんすか?」