第11章 烏野排球部恒例GW合宿
「…ふふ」
『どうかしました?』
「いや、鈴木さんが可愛くて」
『えっ!?』
「結構暑かったのに、ジャージ脱ぎたくないんでしょ?」
『……は、はい、すごく嬉しくて』
「みんなもすごく嬉しそうだったし、私もすごく嬉しかった」
『それを聞いて嬉しさが倍増しました!』
「そういえば…あの話を聞いてからね、やっぱり2人のことを意識して見るようになっちゃったんだけど」
『影山くんですか?』
「うん。本当にあの日の2人が嘘みたいにただの同級生で、すごいなって思って」
『事情を知る清水先輩にそう言って頂けると本当に安心できます』
「なんなら、月島や山口とのほうが仲良く見える」
『あはは!そういえば私、別のクラスの子から私が男バレのマネージャーになったのはツッキーや山口くんがいるからだって言われてるらしくて、その噂に却って助かってたりもします』
「何が理由だっていいのに、そんなことをわざわざ噂する人もいるんだね…」
『…はは、そういう人もいるんだってわかっているからこそ、やっぱり影山くんとのことは隠していなくちゃいけないなと思ってしまうんですよね』
「…だからこそ、影山は早く言ってしまいたいだろうけど」
『影山くんが、ですか?』
「あ、ううん…こっちの話!」
『?』
「そ、そうだ!今日は何を作ろっか」
『ああっ…食材ってどんな感じでしたっけ?』
「野菜は元々近所の農家さんたちがたくさん置いていってくれてるのと、バレー部は特別にOBでスーパーやってる人がお肉もいっぱい差し入れてくれるんだって…あ、この前きてたよ…えっと、めがねの」
『嶋田さん!』
「よく覚えてたね」
『ジャンプフローターサーブがすごくて…』
「たしかに、すごい近くで見てたもんね鈴木さん」
『どうやって打ってるのかを知りたくて!……でも野菜もお肉もあるなら何でもいけちゃいますね!』
「うん、でも私料理はあんまり…あ、ここだよ、合宿用施設」
『……おお、趣がある』
「…良い言い方をすればね」
私たちは中に入って、食堂へと向かった。