第2章 白鳥沢受けることにした
『あっ!そうだ、スマホ…!』
私が慌てていると、
「これは、キミのものか?」
そう言って、震えるスマホを差し出した。
スマホの画面には《着信 影山飛雄》の文字が。
「影山…?」
『どうもありがとうございます!私のです』
「そうか…電話に出ないのか?」
『あ…すみません、出てもいいですか?
……もしも』
〈おいお前、今どこいんだよ!〉
『今?まだ白鳥沢学』
〈ハア!?お母さんに帰るってLINEしたんじゃねえのかよ〉
『したよ!…したんだけど、ちょっと色々あって』
チラッと目の前の人を見上げると、その場で電話が終わるのを待ってくれているようだった。
〈色々ってなんだよ、大丈夫なのかよ〉
『うん、大丈夫大丈夫!もう帰るからさ!ごめんじゃあね!』
〈は?おい、ちょっ〉
電話を切って頭を下げる。
『すみません』
「いや、俺は構わない」
『あの、もしかしてスマホを届けにきてくださったんですか?』
「ああ」
『どうもありがとうございます!すごく助かりました。私そろそろ帰ります』
「帰る?…この先にあるのは寮だが」
『寮!?』
「校門まで送ろう」
そう言って歩き出した彼にペコペコと頭を下げて隣に並ぶ。