第11章 烏野排球部恒例GW合宿
影山 side
「勉強より体育のほうが良いなんて、さっすが王様だよね。僕と脳みその作りが180度違うよ、ホンット羨ましい」
「あ゙ぁ?羨ましいとか思ってもねえくせに言うんじゃねえよ、腹立つ」
何かと突っかかってくるヤツだが、今日はとりわけ機嫌が悪いらしい。さっさと着替えて出るか、そう思って体育着に頭を突っ込むとその窮屈さに違和感をおぼえる。
「……あ?」
一瞬腕の部分から頭を出したのかと思って、引っこめてグルグル回しても一向にその場所が見当たらない。
「チョット王様、なにしてんの」
「頭出すとこがねえ」
「襟って言いなよ…え、それなんか違くない?」
「…なんか…あ?…なんだこれ」
「どうしたの影山?…え、ちょっと待って!それ鈴木って書いてない!?」
「は?」
「それ、鈴木の体育着じゃん!」
山口がそういうと、全員がこちらを見た。
頭から外して見てみると、確かにこの体育着には鈴木という刺繍が入っていた。
…どういうことだ?俺の袋だよな、これ。
「影山!なんで鈴木さんの!」
「どうやって手に入れたんだよ!?」
「ちょ、いいから嗅がせろ!」
「…………ハア」
同じクラスのヤツらの馬鹿みてえな声を背中で受けながら、俺は教室のドアを開ける。
「バカ、服着なよ!」
月島の声を聞いて、自分が上裸だということに気付いたがもう遅い。何故ならそこには、俺と同じく体育着を手にした美里が立っていたから。