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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第11章 烏野排球部恒例GW合宿


胸元の刺繍を確認すると、そこには“影山”の文字が。おい、鈴木はどこいったんだ、鈴木は!?

袋の中を確認すると下も見事に影山で、鈴木の上下がすっかり行方不明だ。

『…なんで、わたしの…』

私たちの体育着袋は黒と白のmizunyoroの色違いで、この白い袋は確かに私のものだった。

中身だけが入れ替わっている…いや、入れ違いだ…きっとママの入れ違いだ。

3組の子たちが静かにざわついている。それもそうだ、クラスメイトの体育着を縁もゆかりもないはずの女子が着ているのだから。…やばいやばいどうしよう。私はそそくさと体育着を脱いでとりあえずもう一度シャツを着る。



『…………』






辺りを見渡してみるが、


なかったことには、
……できなさそうだね、うん。





そんなことより、恐らく飛雄の手元にあると思われる鈴木の上下とこれを早急に交換しなくては…


「鈴木さん」

『はい!』

「…早く返してあげないと影山くんが困るよね?」

『………返す』

「あっえ、と………ごめん、でも本当にそう思って」

「もう!キジーは影山くんのことになるといつもそうなんだから!」

「ち、違うけど………だってさぁ…!」


前に3組で見たキジマさんが、少し棘のある言い方でそう言った。あの時も私に対して気になる表情を向けていたし、何だか知らないけど、どうやら私はこの人に好かれていないらしい。…にしても、盗んだわけでもないのに返すって言い方は少し心外だし、その“影山くん”だけでなく、この私も今確実に困っているんですけどね!?…そんな感情を押し殺して、私は努めて明るく返事をした。



『あはは、たしかに!その通りですね!』



ドア開けまーす、そう声を掛けてから私は3組を出た。

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