第10章 東と西
「あっ、アサヒさんだっ!!!」
その声に目を向けると、日向くんが体育館の窓の柵にひっついて外を見ていた。私も隣で同じようにして外を見ると、そこには背の高い髭の生えた人がいた。
「アサヒさんっ!!」
『…日向くん、あさひさんってエースの人?』
「そう!烏野のエース!ほら鈴木さんも呼んで!アサヒさーん!」
『あっ…あさひさーん!!!』
「ゲッ、増えた…え、誰」
『はじめまして、マネージャーの鈴木です!』
「…鈴木って、“1年の鈴木さん”?」
「旭さん!そうッス!本物っす!」
「ええっ!?」
『…1年の鈴木さんってなんなんだろ』
「鈴木さん、エースにまで知られてるのかよ〜…悔しい羨ましい!」
『いや悔しくも羨ましくもないでしょ、だって1年の日向くんっていうのと同じなんだよ?』
「ちがう!認知の問題!」
「ホラホラ、日向鈴木あぶないだろ」
私たちは菅原先輩に首根っこを掴まれて下ろされる。
「なんだ遅刻かナメてんのかポジションどこだ!!」
「あっえっ、ウィングスパイカー…」
「人足んねえんださっさとアップとってこっち入れすぐ!!すぐすぐ!!」