第2章 白鳥沢受けることにした
母に『今終わったからこれから帰る』とLINEをして歩いていると、どこかから突然大きな声が聞こえた。
「やばい!!」
「危ない、避けて!!!!!!!」
声の方向に目を向けると、ボールが勢いよくこちらへ飛んできているところだった。視界がゆっくりと動いて見える。走馬灯のようなスローモーション。
…あ、私死ぬかも。
そう思った瞬間。
──「えっ嘘、見ただけで出来ちゃったの?!」
──「美里、すごいなあ!」
古い記憶の一欠片。
夕方の体育館、
元気な一与さんの声、
悔しそうな顔でじっと私を見つめる小さな飛雄。
私は手に持っていたスマホを放り投げ、肩幅に足を開いて両腕を体の前に差し出した。