第8章 決意のスタートライン
すると、飛雄は片手でボールを掴み、私へと掲げた。
「…お前、人生懸けて俺のバレーをサポートするってことだよな?」
『なんかそう言われると壮大だけど…それが私の夢だよ』
「お前がその人生を俺のために使うなら、俺もそうしてやる」
『え?』
「春高も全日本も世界も…これからお前が見たい景色、俺が全部見せてやる」
迷いもなくそう言い切った飛雄。
私は瞬きも忘れて、その力強い濃紺の目を見つめた。
『…っ…わ、』
「なんだよ」
「飛雄のくせに、今すごくカッコよかった…」
「…くせには余計だろ」
『なんかタッチみたいだね!幼なじみでさ、甲子園に連れてってってやつ!…美里を春高に連れてって?』
「お前ほんと漫画好きな」
『うん、漫画は教科書だよ!色んなこと教えてくれる!』
飛雄は手元のボールを、私に放った。
「美里」
『なに?』
「お前を連れてってやるよ、まずは春高に」
『うん、心から応援してる…今度は近くで』
「…タッチといえばお前、田中さんは甲子園には行かねえぞ」
『わああ、やめて!今日知ったのそれ…本人に言っちゃって』
「はあ!?…で?」
『…甲子園行けそうな気がするって』
「お前、田中さんにちゃんと謝れよ」
『うん、そうする……』