第8章 決意のスタートライン
『でさ、さっきマネージャーやって何が学べるかとか時間を費やす意味があるのかとか色々話したんだけどね…そんなことよりも何よりも、たぶん私、飛雄の近くにいたいの』
「……は?」
私がそう言うと、飛雄は顔を上げて私を見た。
『高校卒業したら、お互いの夢のために本格的に走り出す期間に入ると思うんだ。そしたら、今までみたいに当たり前に一緒に過ごすことも出来なくなるでしょ?…受験の時、それを痛感してさ』
「………」
『…あと、今日バレーする飛雄を見てたら少しだけ苦しくなった』
「なんで」
『ああ、こうやって1分1秒ごとに影山飛雄は遠くにいっちゃうんだなぁ…って』
「ふ、…なんだよそれ」
『ついてこいよって言ってくれたのに、見失いそうで怖かった』
「………」
『だから…見失わないように高校の間だけでも近くで見ていたい。他人のフリしようって言ったり近くにいたいって言ったり…なんかすごく我儘だね、私』
「…我儘だな」
『ごめん。でもね?飛雄に迷惑は絶対に掛けたくないから、嫌なら嫌だってちゃんと言ってほしい』
「今日言っただろ、お前の才能はチームにとって魅力的だって。たかだか1ゲーム見ただけであそこまで分析できるのはすげえよ。テレビで試合観てはあーだこーだ一与さんと言い合ってたの思い出した」
『あー懐かしい、楽しかったよね』
「ああ」
『じゃあ私、やろうかな。マネージャー』
「…おう」