第7章 再会
「…痛いじゃんか、飛雄」
私の視界が真っ黒になる。
見上げてみればそれは及川さんの言うように間違いなく飛雄の後ろ姿で、呼吸を荒らげて私と及川さんの間に割って入るように立っていた。
「…もう1回聞きますけど、なにしてんスか?」
「……キスだけど、悪い?」
「ふざけてんスか?」
「別にふざけてないけど」
「……あ?」
一触即発な雰囲気。
『…………っ、』
何れにしても飛雄が来てくれて助かった、そう思ったら腰が抜けて私はその場にズルズルとしゃがみこんだ。
「おい、大丈夫かよ」
『うん……ありがとう、大丈夫』
「てか、国見」
「……なんだよ」
「お前なにそこで突っ立って見てんだよ、止めろよ。こいつのことが好きなら」
「なっ!そんなことお前に言われる筋合いないだろ!」
『…ッ…もういいから、大丈夫だから』
「良くねえだろうが…お前立てんのか?」
飛雄は私に右手を差し出した。その手を取ると、想像以上の力でグンッと体を持ち上げられた。心配してくれているのか、飛雄に顔を覗き込まれて気恥しさに目を逸らす。
『あ…ありがとう』
その一連のやり取りを見ていた及川さんは、どこか楽しそうに腕を組んで口を開いた。
「ねえ、トビオちゃん」
「なんすか?」
「その子はお前のなに?」
「話す義理ないっスね」
「お前、ホンット生意気!」
「…まぁ別に、“ただの”同級生です」
「ふーん、あっそ」
「そういや、清水先輩が探してた」
『あっ…そっか、先に行ってるね』
私は及川さんと国見くんに頭を下げてボックスを肩に背負ってからその場を走り去った。