第7章 再会
『…っ…あの』
「うん、なぁに?」
オイカワさんは、右肘を私の頭の横について体育館の時よりも至近距離で私を覗き込んだ。電車の中で飛雄と同じように向かい合わせに立ったことがあったけど、それよりも大きいな…。そして長いまつ毛を伏せがちに、私の唇を一度見ると目線を合わせて口角を上げた。
「…名前、教えて?」
『鈴木、です』
「ううん、違う…下の名前」
『美里です…』
「うん、いい子…ふぅん、美里ちゃんって言うんだ、名前まで可愛いね?」
甘ったるい優しい声で吐息混じりに見つめながらそう言うオイカワさんに顔が熱くなる。こんな感じのやつ漫画で読んだことがある。たしか肘ドン…そう肘ドンってやつだ…。
「今日の俺さ…どうだった?」
『サーブ、強烈でした…狙いも正確で、それなのに威力は落ちなくて…えっとほかにも、いろいろあったんですけど……ゎっ、』
オイカワさんの膝が私の股の間に入ってくると同時にグッと身体の距離が縮まる。