第15章 おんりーさんの守護霊は
それからさらに数日。私は変わらずドズル社で働く日々を過ごしていたのだが、昼休憩近くになると、社内が妙に騒がしくなった。
たまたま聞いた話によると、ドズル社にゲーム実況者五人の誰かが来るらしい。なんでもドズルさんと何かしら会議をするとかなんとかで。
私はそこまで気にも留めておらず、昼休憩に行こうと廊下を歩いていた時、なぜか猫の鳴き声が聞こえて思わず振り向いてしまった。
こんなところに猫がいる訳ないのだから、絶対幽霊か何かだと思ったのだが、そこにいたのは猫ではなく生きている人間だったので私はホッとした。
「こんにちは、おんりーさん」
「こんにちは」
彼の顔をよく知っているスタッフたちならこんな人気のないところにいるおんりーさんを放って置かないだろうに、どうやって騒ぐスタッフの目をくぐり抜けて来たのだろうか。それにさっき猫の鳴き声が聞こえた理由も分からない。おんりーさんの守護霊はゲームキャラクターの小天使なのだし。
「これからお昼ですか」
私の思考内なんて知るはずもないおんりーさんがそう聞いてきた。私はお昼ご飯にお弁当を持っていて、おんりーさんの視線はそこに注がれていた。