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あの方々の守護霊は3[dzl]

第14章 神社の秘密


「……私が見たのは誰、だったんですか?」
 それとも、何か、だったのか。
 白蛇さんは腕を組んだ。
「オヌシも気づいておろうが、恐らくそれは人の姿を真似た誰かだったのだろう。一応、どんな姿だったか聞いておこうか?」
「女の人でした。長い着物を着た」
「ほう……」
 白蛇さんはそれしか言わなかった。それから間を置くとどこか遠くを見つめて、懐かしむようにこう言った。
「ワシが見たのは白蛇一匹だけだった。もしかすると、奴は神の使いなのかもしれんの」
「蛇白神社だから、ですか?」
 この問いには、白蛇さんはシャッシャッと笑うだけでとうとう答えなかった。次には話を切り替えるように、私にこう質問をして。
「して、オヌシは女性以外に誰かいたのを見たのかね」
 私の顔はそんなに分かりやすいのか、それとも、長年守護霊をやっていると心境すら読むのか、白蛇さんは私にそう聞いた。私はこの質問に答えるしかないようだ。
「はい。でも、顔までは見ませんでした」
 私は、受け付けの窓口から見えたやけに黒い手を思い出しながら頷く。すると白蛇さんはニヤリと笑うのだ。
「もしかしたら、妖怪だったかもな。あのような場所なら、妖怪がバイトしていてもおかしくない」
「えっ」
 私は自分の全身から血の気が失せる感覚がした。そんな恐ろしいものだったのだろうか。
 しかし途端に白蛇さんはシャッシャッと笑い転げ、ついには人の姿から白い蛇の姿に変化してその場でのたうち回った。それが蛇の笑い方ならとても滑稽に見えたが、私にとっては笑い事ではない。
「ちょっと、変なこと言って驚かせないで下さいよ……!」
「いやぁ、すまんすまん。オヌシがあまりにも分かりやすい顔をするからの」
 からかいたくなったのだ、と付け足す白蛇さん。私はそこまで怒ってはいなかったが、結局黒い手の正体も全く分からないまま、白蛇さんは忽然と姿を消した。
 本当に、気まぐれな幽霊さんだ。
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