第12章 ぼんさん宅の守護霊
「あの、幽霊のロボットがいるんです……」自分ですらこの発言はおかしいなと思った。「充電式の……丸い自動掃除機……」
「え、掃除機?」
ぼんさんは分かりやすく驚いた。それもそうだろう。私は頷き、今も床を掃除しているような自動掃除機を指しながら話続けた。
「今はここにいます。でも、機械の幽霊がいるなんて私初めてで……」
「今も動いてるんだ?」
「はい……あ、今そっちに行きましたね」
多少の段差も平気に乗り越え、幽霊のロボット掃除機はリビングへ向かった。本当に掃除をしてくれているのなら幽霊でも構わないのだが、なぜわざわざぼんさん宅にいるのかは分からなかった。
ふと思って、ぼんさんの方を見やる。ぼんさんのそばには格ゲーキャラクターの守護霊が憑いていて、何かあるとぼんさんを守るような行動をしていたのは私も見ていた。
だが今は、何かしている様子はない。それどころか私と目が合うとにぃっと明るい笑みを返してくれる。本当に人懐っこい幽霊だ。
とにかく、その守護霊が何もしていないということは、そこにいるロボット掃除機の幽霊も悪いものではない、と判断出来そうだ。
だとしたらなぜ……と私はPCへ視線を戻す。守護霊というのは、それぞれ何から守り、どういう幸運をもたらすのか、それぞれ違うのだと白蛇さんから聞いた。
となるとこのロボット掃除機の幽霊がぼんさんのもう一人の守護霊なのだとすると、何かを片付けようとしている……?