第12章 ぼんさん宅の守護霊
「ぼんさん、ゴミ箱の中身拝見してもいいですか?」
「え、ああ、いいけど……」
許可を貰って私はPCのゴミ箱の中身を開く。多くのいらないものの中に、私が探しているものがあった。
「あ、あった」
「え、何なに?」
「実はこれ、メカニック課のみんなで開発したリソパファイルなんですけど……」と私は説明を始める。「これ、ものすごく重くなる程容量が大きいんです。なので普通にゴミ箱に捨てると容量を圧迫してしまうんです。だからこれは完全消去しますね」
「ああ、頼むよ」
そうして私は、そのファイルを消去した。ファイルの容量があまりにも重過ぎて消去にも時間がかかったが、これできっとPCの動作が軽くなるはずだ。
「はい、これで大丈夫です」
「あー、良かった〜。ありがとね」
ぼんさんには何度も感謝されながらPCの動作環境を確認してもらう。大丈夫そうだ。
気付くとあのロボット掃除機幽霊が私の足元にいた。くるりと回って私に感謝を伝えているように見えた。しかし、なぜぼんさん宅にロボット掃除機の幽霊が現れたのだろうか。普通の掃除機や箒でもなく。
私はぼんさんに一応訊ねてみた。
「ぼんさん、最近ロボット掃除機とか買いました?」
「え? ……いいや、買ってないけど?」
「最近壊れたとかではなく……?」
「そうだねぇ……ロボット掃除機なんて、なんでだろね?」
と考え込むぼんさんには本当に心当たりはないようで、謎は深まるばかりだった。