第4章 轟焦凍
『...嘘...じゃない...よ?昨日失敗し、』
「でも緑谷には渡してただろ。」
あ、とそこで私は気づいた。自分にはくれなかったのに緑谷くんにはあげたのだと勘違いしているのだと。でもそれは発明さんから預かってたもので。
『...ッ違う!あれは発目さんから預かってた物で.....!信じてもらえないかもしれないけど....ッ、』
つい大きな声を出してしまい、焦凍も驚きの表情を見せた。
「発目.....?あぁ、サポート科の。」
なんだ...そうか、と呟き安心したように柔らかく笑うとギュッと焦凍の腕の中に閉じ込められた。
『ッ、焦凍...信じてくれるの...?』
「俺も疑って悪かった。緑谷に渡してるところ見たら、すげぇ嫌な気持ちになっちまった。」
安心する焦凍の温もりとか、焦凍に嫌な思いをさせてしまった事とか、自分がした事の申し訳なさとか色々な思いが沸々と込み上げてきて、途端に涙が溢れてきた。
『ううん、私の方こそ...ッごめんね。避けて、焦凍に嫌な思いさせて...』
「もう気にすんな。それより、なんでは持ってこなかったんだ?」
抱きしめられていた身体を離して、きょとんとした表情で私を見つめる焦凍。
『......笑わない?』
「ん...」
『...私、料理本当に苦手で...。昨日作ったんだけど、全部失敗しちゃって。けど、材料買ったらまた作るから!今度は失敗しないようにするから......!』
「そうだったのか。じゃあ今、相澤先生に外出許可もらってすぐに一緒に買いに行こう。」
『へ......?今から?一緒に?』
「あぁ。俺も一緒に行った方がも間違いなく材料も買えるし安心だろ。それに早くの手作りが食いてぇ。」
いや、そういう事じゃないんだけどなと思いながらも焦凍を見るんだけど真剣な表情の焦凍にこれ以上私も何も言えない。
それに1度決めた焦凍はなかなか折れない。
それは彼女の私が1番よく知っている。