第4章 轟焦凍
『できたぁ....!』
焦凍の手助けもあってなんとかガトーショコラを完成させることが出来た。
盛り付けたガトーショコラを持ってソファに2人で腰掛けた。
『焦凍、遅くなってごめんね。』
「ありがとな、」
優しく微笑む焦凍に胸が暖かくなる。
フォークにガトーショコラを刺し、口に運ばれていくところをジッと見た。
『おいし......?』
「ん...うめぇ。また来年も作ってくれるか?」
『もちろん!来年は絶対に失敗しない!』
「」
焦凍が、お皿をテーブルに置くと不意に名前を呼ばれた。返事をしようとした声は焦凍の唇に塞がれた。
『ん....ッ』
「大好きだ、」
『私も大好きだよ、焦凍。』
お互いのおでこをコツンと合わせて、2人で微笑んだ。どちらからともなく唇が近づいたところで声が響いた。
「はーーい!!2人ともこの続きはお部屋でねー!!」
「お前らバレンタインだからって、こんなところで盛んなってーの」
声の方を見ると、三奈ちゃんと瀬呂くんがニヤニヤしながら私たちを見ていた。
『ッ......!』
「わりぃ。立てるか?」
『え、どこ行くの』
焦凍の手を取りソファから立ち上がる。
「ん、どこって俺の部屋。続き、してぇから。」
『なッ......!!』
そう言って私の手を引きながらどんどん歩いていく焦凍。
「頑張れぇ」
「とどろきー!あんま激しくすんなよー!」
後ろから楽しそうな三奈ちゃんと瀬呂くんの声が聞こえてきた。
翌日、焦凍の部屋の隣の瀬呂くんと砂藤くんから、轟ってそんなにすげーの?と笑いながら聞かれるのは言うまでもない。
fin.