第2章 出会い、非日常が日常へ
『すみません、お待たせしました』
「大丈夫よ、お疲れ様。ラテは飲めるかしら?」
稜華は『ありがとうございます』と一言言い、差し出されたカフェラテを受け取り、ジョディの向かいに座る。
「ジェイムズには連絡済みだから少しのんびりしてから行きましょう」
『…ありがとうございます』
稜華は渡されたラテに息を吹きかけ一口飲む。
甘くて暖かいラテが任務で疲れた身体に染み渡り、
思わず『はぁ』と息が漏れてしまう。
「いきなりの任務で緊張させちゃったわよね、ごめんなさいね」
『いえ、もっとお堅い感じの雰囲気を想像していたので…。勿論早速任務を任されるとは思いませんでしたけど』
「任務中はピリついてばかりだけど、それ以外はリラックスして頂戴。でなきゃ必要以上に体力も精神も消耗しちゃうわよ」
任務前にも見せられたウインクを見て、稜華は少し笑顔になる。
「やっと笑ってくれたわね。そろそろジェイムズの元に報告へ行きましょうか」
『はい、ありがとうございます』
立ち上がったジョディに肩を並べ、稜華はジェイムズの元へ向かった。
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「ジェイムズ、入るわよ」
ジョディがノックと共にドア越しに声をかけると、「どうぞ」と聞き覚えのある声が返ってくる。
「久しぶりだな、稜華くん。日本であった以来だな」
『お久しぶりです、ジェイムズさん。挨拶と任務の報告に参りました』
「ありがとう。では早速、報告を聞いてもいいかな」
『はい。一先ず組織の大元のデータベースをハッキングしました。その時点でやはり複数カ国へのサイバー犯罪が予定されたプログラムが確認できました。もう少し細かく確認すれば、どこの国が直近で予定されているのか情報が掴めるかと思います』
「なるほど。では引き続き任務続行で頼もう」
『承知いたしました』
任務の報告が終わると、ジェイムズの部屋にいた男の捜査官が口を開く。