第1章 非日常、幕開け
大きな入口から受付に向かい、エレベーターに乗り、長い通路をひたすら歩き、ようやく自分のオフィスに到着した。
「ここが稜華のオフィスよ。貴女は現場とオフィスどちらでも任務する事になるだろうから、オフィス任務の時はこの部屋と設備は自由に使って頂戴」
そう言われて案内された部屋は、大きなデスクにいくつものディスプレイや電子機器が並べられていた。
併せてソファーベッドなどが置いてあり、任務と軽い休息なら取れそうなオフィスだ。
⦅寝泊まりしないと終わらない任務もあるんだろうな⦆
なんて、早速嫌気が差す稜華。
「他に必要なものがあれば用意してもらって構わないわ。ただ、このフロアには休憩室やちょっとしたカフェテリアもあるからそっちに行っちゃえば大体なんでもできるわよ」
『分かりました。色々と揃えて頂きありがとうございます。任務内容を聞いてもいいでしょうか』
備えられたPCを起動させ、ディスプレイや電子機器などの調整を進めながら質問する稜華。
それを見たジョディは「やる気満々で安心したわ」と一言言い、任務の説明を始めた。
「今回はある組織のデータ網に侵入してほしいとの事よ」
『⦅やる気満々もなにもやらなきゃいけないからなぁ⦆ある組織?』
「”黒の組織”、暗殺や裏の金銭取引など世界中でごく大規模の犯罪を犯す国際犯罪組織、と言ったところかしら。黒の組織がこれから実行するであろう犯罪の内、PCやソフトウェアを用いたIT犯罪の情報をハッキングするのがジェイムズからの任務よ」
『なるほど。これから実行予定のIT犯罪であれば組織のPCにでもハッキングすれば何か掴めるってことですね』
「そう言う事。ただ今日はざっくりこなしてくれれば良いみたいよ。明日から本格的にお願い、との事だから。終わったら連絡と頂戴。」
ウインクと共に「初任務、頑張って頂戴♪」といいオフィスを出ていくジョディ。