第1章 非日常、幕開け
「着いたわよ、稜華。まずは貴女のオフィスに行って…」
ジョディの声を遮る様にスマホの着信が鳴り響く。
「ごめんなさい。少しこのまま待ってて」
そう言って車の外に出るジョディ。
⦅大きな建物…。今日から本当にここで過ごすのかぁ。と言うか私のオフィスってどう言う事?あ、ハッキングはその部屋で作業できるって事なのかな。そうだといいなぁ⦆
現場に赴くのは避けたいと思っている稜華はそんな事を考えながら目の前にある連邦捜査局を眺めていた。
すると電話を終えたジョディが助手席のドアを開ける。
助手席から降りるより先にジョディが口を開く。
「ジェイムズからだったわ。稜華、本当に悪いんだけど早速1件任務が入ったわ。オフィスの設備は完璧だから、そこで任務を遂行して頂戴。その後、私の仲間たちに顔を出しにいきましょう」
『へ?任務って…』
「ここだと周りが気になるわ。オフィスに着いたらそこで説明させて」
稜華の荷物を持ち、建物の中に入るジョディの背中を見て、大きなため息がでてしまう。
『嘘でしょ…、来て早々どんな案件を任されるんだろう』
しかし、拾ってもらった以上、拒否するなど出来るはずもなくジョディを追いかけて稜華も建物の中に入っていった。