第2章 出会い、非日常が日常へ
『白鷹です、報告に参りました』
「入りたまえ」
『失礼します』
ドアを開けると赤井とキャメルの姿もあった。
「稜華さん、おはようございます」
『キャメルさん、おはようございます』
「稜華くん、任務ご苦労だった。報告を聞かせてもらえないかい?」
「お疲れだろう、座っておくれ」とソファの方へ誘導され、ジョディと並んで腰をかける。
『報告いたします。黒の組織についてデータベースの細かい部分まで確認しました。結果として、ロシア・イタリア・日本の3カ国で直近でサイバー犯罪に関連する何かしらの動きがありそうです。特にロシアは規模が大きくなるかもしれません』
「そうか。ロシアもイタリアも出身の捜査官は数名いる。そちらは問題なさそうだな。幸い日本も馴染みのある人間は多いだろう」
『サイバー犯罪だとしてもやはり現場へ行く事になるのでしょうか?』
「勿論。現場でしか対応ができない事が起こりうるかもしれんからな」
⦅やっぱり、そうなるよなぁ⦆
アメリカでの生活にすら慣れていない中でまた別の国に飛ぶのかと思うと致し方ないとはいえ気が滅入ってしまう。
「この件については私から上にあげてみよう。因みに稜華くん、他国への遠隔サポートを依頼したら対応可能かね?」
『そうですね…、ここのオフィス程ではなくて良いですが、PC環境がそれなりに整っていて、現場の捜査官とやり取りできる状況であればある程度は可能です』
「そうか。分かった。報告ご苦労。入国早々、無理をさせてしまった様だし、今日はゆっくり羽を伸ばしなさい」
てっきり早々に次の任務を任されると構えていたので拍子抜ける稜華。
『へ…。あ、ありがとうございます』
「よーし!モーニングよ、モーニング♩」
ジョディは稜華の手を取り、「じゃあねっ」と言わんばかりにジェイムズの部屋を後にする。