第2章 出会い、非日常が日常へ
午前0時22分 シャワールーム。
『流石FBI…、シャワールームも綺麗』
使用感の無いシャワールームを見て、警備の人間以外は誰も残っていないのだなと思いながら、衣服を脱いでシャワーを浴びる。
暖かいシャワーに当たりながら、昼間キャメルから聞いた話を思い出す。
⦅ジェイムズさんは勿論、ジョディさんもとっても鋭くて洞察力や行動力ある人だし、キャメルさんはドライビングスキルで皆んなを沢山助けてきたんだろうな。あの赤井って捜査官も捜査官としてのスキルは当たり前の様にあって、射撃のスキルはFBIでは一番、シルバーブレッドかぁ⦆
『私、ここで皆んなの役に立てるのかな…』
不安がポツリと声に出てしまい、ハッとする。
『ダメダメ、こんな時間に考え事しても良いことない。カフェテリアによって任務の続きしなきゃ』
シャワーを止め、タオルに身を包み、新しい衣服に着替えてカフェテリアへと向かう。
『昼間とはまた違った雰囲気だな』
カフェテリアに到着した稜華は昼間ジョディが淹れてくれたカフェラテを作りながら辺りを見渡す。
昼間は陽の光が差し込み、明るい雰囲気だったカフェテリアも、夜はメインのスペースのみ間接照明で照らされているだけで少し不気味さがある。
スマホを片手にカフェラテの完成を待っていると、足音が響きふと顔を上げる。
「誰が残っているのかと思ったらお前か」
『赤井…さん、残ってたんですね』
「ああ。資料室の方にな」
『もしかして昨日からずっとですか?』
「いや、一昨日からだ」
コーヒーを作りながらサラリと答える赤井。
『睡眠不足は身体に毒ですよ』
「そういうお前もこんな時間までオフィスに居たんだろう。お互い様だろう」
⦅自己紹介!したんですけど!!⦆と内心で叫んでいたところに稜華のカフェラテが完成する音が鳴った。
『私は大丈夫です、若いので。ではオフィスに戻ります』
カフェラテを手に取り、この場を去ろうとしたが「待て」と声がかかり足が止まる。