第16章 雨音
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桜の木はいつの間にか緑の葉で着飾られ、窓の外からはザアザアと砂嵐のような音がなり続いている。
最近の烏野高校には雨が降り続いており、カレンダーは6月という文字を大きく主張していた。
今日から6月。
春は終わり、空は少しずつ季節が変わる準備をしていた。
影山くんと気まずくなってから約1ヶ月。
気まずそうにしている影山くんを見るのは胸の奥を針で刺されるような思いだったが、それでも私は懲りずに影山くんへの挨拶だけは続けていた。
もうそれしか影山くんの日常に近寄ることは出来なかった。
「また雨かぁ〜」
隣で仁花が口を尖らせていた。
「最近雨多いねぇ〜」
そう答えると、仁花は「そろそろ晴れないかなぁ」と呟いた。
もう何日も雨や曇りが続いている。
たしかにそろそろ晴れて欲しいな。
そう思いながら傘を傾け空を眺めていると、
「なんか雨って気持ちまで沈んじゃうよねぇ」
そう仁花は言った。
雨からしたら、なんてひどい とばっちり だろう。
それでもこの暗い空とザアザアという音が、私達の気持ちをなんとなく沈ませているのは確かだった。