第12章 先輩
影山くんと別れ及川先輩と2人きりになった時、私は勇気をだして及川先輩に聞いた。
「あ、あの」
「うん?」
「私も気になります、バレー部入っちゃいけない理由」
重い空気を変えるために、バレー部に入るつもりはないんですけどねっと笑った私に、及川先輩は言った。
「ちゃんと戦うとか嫌だし、しかも烏野だなんてもっと嫌だ」
烏野という名前を出した及川先輩の目からは、先程と同様に恐怖すらも感じた。
「そ、そうなんですか」
その後少しの沈黙が続き、その沈黙を破るように私は言った。
「あ、ここ曲がったらすぐなのでもう大丈夫です!」
それを聞いた及川先輩はいつも通りの笑顔に戻った。
「そっかそっか!じゃあね、気をつけて帰るんだよ〜」
そう言い手を振る及川先輩にお礼を伝え、手を振り返した。
家に帰った私はどっと疲れに襲われた。
バレーを観戦したり初対面の人と一緒に帰ったり、偶然影山くんに会ったり…
友達と遊ぶ約束をしただけだったのに、こんなにも濃い一日になるとは思ってもみなかった。
「すごい一日だったなぁ…」
疲れを流すように帰宅してすぐ浴室へ向かった私は、湯船に浸かりながらそう呟いた。
帰り道の出来事が濃すぎてなんだか薄れてしまっていたが、久々に友人に会えた満足感もあった。
その友人の幸せそうな姿を思い出して私は
好きな人と付き合うという事を少しずつ願い始めていた。