第8章 教えて
言わなければいけない空気を先に影山くんに作られてしまった。
自分から聞こうとしていた時よりも心臓がドクドク鳴っているのがわかった。
「え、えっと」
言い出したいのに言葉が口から出てこない。
喉の奥に何かが突っかかっているような気分だった。
「?」
「その、」
「おう」
「……………な、なんでもない!よ!」
ああ。
やってしまった。
なんて弱虫なんだ、私は。
肝心なところで逃げてしまう。
「…そうか。じゃあな」
影山くんはまた歩き出した。
席替えで席が離れたときよりも、連絡先を聞けずにHRが終わってしまった時よりも、何よりも1番悔しかった。
今自分は、影山くんと繋がる1番のチャンスを逃したんだ。
やっぱり私は小心者なんだ。
でも今日は影山くんとかなり話せたし。
これからも影山くんとは毎日挨拶だけできればいいか。
きっとまたチャンスはある。
そう思った。
でも、
あと一歩だけでも、影山くんと近付きたい。
「ま、待って!影山くん!!」
気づいた頃には勝手に口が開いていた。