第8章 教えて
「か、影山くん…?」
「…あ、ああ。よかったな」
「うん!ありがとう!」
お礼を言うと影山くんはまた気難しそうな顔をした。
(タオルが汚れたの相当ショックだったんだろうな)
力になりたい、そう思った私はあることを思いついた。
「あ、そうだ!
今日体育あると思ってタオル持ってきてるんだった!
私ので良ければ使う?」
「いいのか?」
「うん、未使用だから衛生面も大丈夫だよ!」
「助かる」
私はタオルの入っている袋を取り出すためにカバンを漁った。
カタッ
その拍子に、カバンに入っていたスマホが床に落ちてしまった。
スマホを見て私は重大なことを思い出した。
(連絡先、聞けなかったんだった)
「大丈夫か」
「あ、うん!」
慌ててスマホを拾い、タオルを取り出して影山くんに渡した。
「あざす」
「ううん!…そろそろ行かなきゃだよね!部活、頑張って!」
「…ウス」
部活という単語を聞いてウキウキした影山くんは、
振り返る直前は少し名残惜しそうな顔をして、扉へと進んだ。
聞くなら今しかない。
これが、本当のGW前最後のチャンスだ。
声をかけないと、行ってしまう。
とにかく呼び止めなければ。
そう思い、慌てて口を開いた。
「あ、あの「そういえば」」
私の声が影山くんの耳に届く前に
影山くんが突然振り返ってこう言った。
「HR終わった時なんか言いかけてたよな」